2024年05月17日

ガマンのすすめ

ここでは、『空手ブログ』ということで、そういう観点から物事を見て発信していきます。

なので多少いわゆる体育会系的な発言になると思いますが、どうぞお付き合いください。

空手道・武道で心身を鍛えるとよく言いますが、具体的にはどういう事を指すのでしょうか。

私は『稽古は楽しいもの』として指導しています。しかしそれはあくまで『楽しい』であって、『楽をする』というものではありません。もう少し言えば、楽をしていたらいつまでたっても空手の楽しさは分からないです。空手の形も組手も、正しい立ち方から生まれます。例えば四股立ちや猫足立ちという立ち方は鍛錬の意味合いも含んでいますので、けっして楽な立ち方ではありません。普通の人なら1分いや30秒でも辛いでしょう。そこはガマンのしどころです。

今は様々な事が便利になり、体力的にも時間的にも『ガマンをする』という事をしないで済むケースが非常に多くなっています。それはそれで日常生活には結構な事なのですが、何かを身につけようと思った時にまでガマンを回避するというのはけっして良策ではありません。あえてガマンする方を選ぶという意思が必要になります。その先に自分の手に入れたい物が待っているなら、そのガマンはすべきガマンではないでしょうか。

またガマンをすると必ず限界が訪れます。逆に言えば、ガマンをしないで、いったいどうやって自分の限界を知るというのでしょうか。限界を知る=今の実力を知るという事につながります。今の実力=自分の現在位置が分かれば、次に進むべき目標も定まりましょう。何も真剣に取り組まないで、「自分はまだ実力を出してないだけ」なんて言い訳は自分の親にだって通じません。

もう少し体育会系的な事を言うと、筋肉痛を嫌がって、運動や身体を鍛える事から逃げる自分を容認し続け、成長しきらない貧弱な身体と心のまま社会に出るとするならば、おそらくそこには挫折や失望といった不幸が待っているだろう。といううのは言い過ぎでしょうか。極端過ぎますか?少なくとも、社会を生き抜く土台や精神力を持ち合わせていない自分というものを痛感すると危惧します。

空手道・武道は、安全に効率よく身体を動かし、精神衛生の向上に寄与します。スッキリするとか、達成感とか、楽しかったとかですね。また適度にガマンする状況を作り、忍耐や克服心を培います。身体が鍛えられ、力やガマンする体力が付き、技を覚え、それを駆使し活用する中で、考える力や精神力を育みます。それが武道の目指す『心・技・体』というものです。そうなえばもう稽古が空手をやる事が楽しくなっているでしょうね。

私は、ガマンをしないと心身が鍛えられないと言いたいのではありません。ただガマンを避け続けて心身を鍛えようとするのは無理があると考えています。したくなるようなガマンを上手に織り交ぜながら楽しく稽古をしていく中で、結果として空手を通して心身が鍛えられているそんな稽古場にしたいと思います。